こえラボ https://koelabo.net Mon, 23 Feb 2026 10:50:44 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9.4 https://koelabo.net/wp-content/uploads/2025/04/cropped-こえラボくんその2-32x32.jpg こえラボ https://koelabo.net 32 32 2026年1月 活動報告 https://koelabo.net/activity-report/644/ https://koelabo.net/activity-report/644/#respond Mon, 23 Feb 2026 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=644  こえラボ編集部の葉山です。少しずつふくらむ蕾を目にするたび、春が楽しみになる今日この頃です。 

 2月もあと数日ですが、こえラボ編集部の1月の活動についてご報告します。

作品公開 

 新しい寄稿作品が公開されました。

作品:共鳴した声は夜空に輝く
著者:小山佳祐さん

 おれ自身もびっくりした。『おれ日韓の翻訳家になりてー!』ってこいつがいった時、おれは、「ええ⁉まじっすか!?」と条件反射のようにいい放ち、『だからとりあえず会社辞めて韓国の大学院いこうぜっ!』っていうこいつのはしゃぐ声を聞いた時は、さきほどの5倍くらいの声量で「ええ!? まじっすか!?」と叫んだものだ。 おれの中の奥深くにいるこいつは……

 “こえ”に向ける純粋な眼差し、“声”に対する素直さ。それらを受け止めながら、自分で納得のいく選択をしていく力強さが感じられる作品です。“こえ”に向き合いながらも時に悩み迷いが生じてしまう時に、真っ直ぐ、温度感を持って励ましてくれるように思います。

哲学対話

先日、「哲学対話」というものに初めて参加しました。
「哲学の知識がなくても、日頃の問いを自由にそれぞれが持ち寄り、解決や否定をせず、ありのままの言葉を受け止める」ことを約束事として催されました。

 誰かの言葉に耳を傾け、自分の内に湧き上がってくるものを言葉にすると、さらなる問いが重ねられていきます。「自分は今、なぜこう思ったのだろう?」「相手の言葉に共感をしたのはなぜなのか?」と内面に問い続ける場は非常に有意義で、対話形式だからこそ生まれるものもあったように感じます。

 そして、この哲学対話の場で思い浮かんだ問いがあります。

『自分らしさとは、一体なんなのか?』

 “こえ”とは自分らしさなのか、自分らしい“こえ”があるのか?それとも誰かから向けられる“声”が、自分らしさなのか?こういったテーマで作品を考えてみるのも、面白いかもしれませんね。

 引き続き、こえラボをどうぞよろしくお願いいたします。


【こえラボとは】
 心の“こえ”と対話するきっかけとなるような、さまざまな作品を発信しています。

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【寄稿記事の募集】
 こえラボでは、心の“こえ”をテーマにした作品を募集をしています。あなたの“こえ”を聞かせていただけますと幸いです。

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言霊 https://koelabo.net/novel/635/ https://koelabo.net/novel/635/#comments Sat, 21 Feb 2026 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=635  学生時代に聞いたラジオのなんでもない一場面、「○○さん、ラジオは喋らないと、居ないのとおんなじだよ」という言葉が、何故だかずっと、頭の片隅に居続けている。

 ラジオを聞くのは好きだが特別好きってほどではないし、ラジオをする側になりたいような憧れも、夢に掲げるほどではない。それなのに、ラジオをする人の心構えその1、みたいなこの言葉が、ずっと私の中の「大事な考え方」をしまっている引き出しにある。

 私は「言霊」…のようなものを信じている。

 この感覚を最も近く表現できる言葉を、これ以外今の私は持ち合わせていない。

「(気持ちは)言わなければ、思ってないのと一緒」という言葉がある。

 基本ネガティブな意味で使われることが多いこの言葉だけれど、私はとても良い言葉だと思っている。どんなに自分の中に汚い感情や醜い欲望がいても、口にしなければ、それは誰にもわからない。そもそも、存在しないことになる。つまり、「自分が本当は思いたくない」「他人に見せたくない」感情や思いは、口にしなければ「思っていない」「存在しない」ことになるのだ。沈黙は金。確かに言わなけばいけない思いや感情だってあるけれど、日々生きる世界の角は自分が居る範囲くらい、丸くしていきたい。

 それに、「自分」というものは恐らく好きな方が生きやすい。自分を嫌いにならないために、私はたくさんの「言わない」をする。ただでさえ私は人より要領が悪く、仕事を覚えるのに時間はかかるし、シングルタスクでしか作業ができない。せめて性格や言動くらい、人様に恥じることがないような人間でいたい。

 ネガティブでわざわざ口にしなくても良いことは口にせず。だからといって、嘘を吐くわけでもなく。変に正直な癖に前向きポジティブ人間ではない私は、「大丈夫?」「元気?」と人に問われれば「生きてる!」と返す。いつも何かに追われていて、胸を張って「大丈夫」とも「元気」とも言えないボロボロがデフォルトの私が答えられる言葉は、どうにもこれ以外、しっくりこない。

 以下は私の中のイメージの話。

 もしかしたら人によってはスピリチュアルめな話とも思われるかもしれないが、私としては気づいたらそういう感覚で日々を生きていたので、まぁ自分(これを読む貴方)とは違う星にいる、理解の及ばない火星人(これを書いている私)の話をうっかり受信してしまったとでも思ってもらえればいい。

 私の中で、まだ口にしていない〈自分の中にある言葉や感情・思考〉は、輪郭がぼやけていて、まるで雲か靄(もや)のように、心の中をふわふわ漂っている。中にあるうちは、何を考えていたっていいし、どの言葉を発するかの選択=言葉の制御ができる。

 しかし、何か言葉・感情を体外に出す(声に出す、文章にする)と、その言葉や感情たちは明確な形を持ち、勝手に手足を生やしてひとりでに歩き出す。つまり、私(発言者、書き手)の管轄外になる。だから、私から出た言葉は受け取った人によって解釈が変わり、必ずしも私の言いたかった通り伝わるとは限らない。
(ここで本当に不思議なのが、「声に出す」という行為は言葉を目に見えるものにするわけではないのに、「声に出す」ことによって思いや感情がしっかり固形の「形」に変わる感覚があること。恐らく声に出すことで明確に言語化されるから、そう感じるのだろうけど、なんだか不思議な現象だよなぁと考えるたびに思う。)

 そしてもうひとつ。言葉を体外に出すことによる一番の危うさは「思っていなかったこと、思いたくなかったことが『思ったこと=存在すること』になる」こと。

 小さなことで言えば、「疲れた」。まぁ普通疲れているからつい口から漏れる言葉なのだろうけど、実際たいして疲れを感じていない時にもふと出てきてしまうことがある(私だけかもしれないけど)。そんな時に「疲れた」と発すると、途端に身体が「疲れている」ことを認識し始め、なんだか足が痛い気がしてきたり肩の凝りが気になりだしたりする。

 声を体内にとどめておくうちは、「疲れた」はぼんやりした「可能性のようなもの」程度にしかならないから、疲れ以外のポジティブな感情(楽しいだったり達成感だったり)に目を向けることもできるし、そもそも意図的に目をそらすことだってできる。

 でも、体外に出してしまえば。やつらは形を持ってしまう。言葉が自我を持つ…と言うとどこか違う。とにかく生みの親である私とは違う別の生き物になって、私の頭の中に勝手にずっと居座ってくる。今度は雲や靄のような形ではなく、手足の生えた、制御できない何か――言うなれば「言霊」となって。

 だから、私は不用意に私の頭を乱すやつを産まないためにも、「言わない」をする。

 これが私の信じる「言霊」である。

 私はこの「言霊」的考え方についての話を、友人一人にしか話したことがない。そもそもこんな話題に辿り着くまでにもっと一般的な面白話や価値観の違いで議論できる話題が余りあるし、辿り着いたとてあまりにも私の感覚的かつ抽象的な話過ぎて説明も難しい。現に、もう1800字ほどの文字を使った。これで言葉が足りたのかもわからない。

 しかし、なんとなく、この考え方を文章にして、あえて形を持たせてみようと思った。

 形を持たせ、私の中から取り出して、私ではない別の生き物として、外から観察してみたくなった。

 この場所に合わせて言うなら、「こえ」を「声」にしてみたくなった。

 だから、これはただの自己満足な文章でもある。

 勢いのまま書いたこの文章を、明日の私はどう受け取るのだろう。いつかもっと先、こんなことを書いたことさえ忘れた頃に読み返す私は、何を思うのだろう。

 いま、これを読むあなたは何を思うのだろう。

 いつかの私は「もっと今なら違う言葉でコイツにちゃんとした形を持たせられるな」とか「あーそんなん思っていた頃もあったな」とか、そんなことを思って、私の中のどこかの引き出しにまたしまうのだと思う。

 あなたに私の星の言葉が――この声が、ただ届くことを祈る。

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寄稿記事公開のお知らせ https://koelabo.net/activity-report/641/ https://koelabo.net/activity-report/641/#respond Sat, 21 Feb 2026 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=641 “こえ”を形にした、新たな【作品】が公開されました。

作品:言霊

著者:来夏さん

 学生時代に聞いたラジオのなんでもない一場面、「○○さん、ラジオは喋らないと、居ないのとおんなじだよ」という言葉が、何故だかずっと、頭の片隅に居続けている。ラジオを聞くのは好きだが特別好きってほどではないし、ラジオをする側になりたいような憧れも、夢に掲げるほどではない。それなのに……

 こえラボでは、“こえ”をテーマにした作品を随時募集しています。

 小説、評論、エッセイ、書評などジャンルに指定はありません。

 心の“こえ”を形にする。

 その“こえ”に共鳴して、多くの“こえ”たちが集まってくる。

 そうして、あなたの“こえ”の拠りどころになっていけたら、と私たちは願っています。

 あなたの“こえ”も、ぜひお聞かせください。

 引き続き、こえラボをどうぞよろしくお願いいたします。


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 心の“こえ”と対話するきっかけとなるような、さまざまな作品を発信しています。

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2025年12月活動報告 https://koelabo.net/activity-report/627/ https://koelabo.net/activity-report/627/#respond Mon, 26 Jan 2026 03:31:54 +0000 https://koelabo.net/?p=627  こえラボ編集長の藤平です。

 2026年になりました。
(もう1月も終わりますが…)

 こえラボが無事に年を越せたことに感謝しています。

 見守ってくださったみなさま、本当にありがとうございます。

 さて、今年最初の活動報告です。

 先月は雑記を1本公開しました。

書籍紹介『透明な夜の香り』
 私たちがすくいあげなかった自分の感情は、時間が経ったあとに思い返した時、全く同じものとして感じることはできません。だからこそ、常に湧き上がってくる心の“こえ”に丁寧に向き合っていかねばならない。自分の“こえ”に耳を傾け続ける姿勢を忘れないようにと、小さな気づきを与えてくれる本をご紹介します。……

 フィクションは、フィクションゆえにより真実味を持って自身に迫ってくる側面があります。

 実にこわいことです。

 こえラボを通じてあらためて、自らのうちに響く“こえ”と向き合うのは簡単ではない、ということを感じています。

 向き合う中で、周りの人には絶対に言えない、とても意地汚いものが出てくるかもしれない。
 思わず叫びたくなるような、恥ずかしいものが現れてくるかもしれない。
 つらい、疲れる、逃げたい。

 ただ、それでも正面から受け止めるという行為そのものに、こえラボは価値があると信じています。

 そしてその行為がとても美しいものであると伝えたい。

 2026年も、みなさまと一緒に美しい景色を作り上げていきたいと思っています。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。


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共鳴した声は夜空に輝く https://koelabo.net/novel/617/ https://koelabo.net/novel/617/#respond Thu, 22 Jan 2026 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=617  おれ自身もびっくりした。

『おれ日韓の翻訳家になりてー!』ってこいつがいった時、おれは、「ええ⁉まじっすか!?」と条件反射のようにいい放ち、『だからとりあえず会社辞めて韓国の大学院いこうぜっ!』っていうこいつのはしゃぐ声を聞いた時は、さきほどの5倍くらいの声量で「ええ!? まじっすか!?」と叫んだものだ。

 おれの中の奥深くにいるこいつは、周りの意見や現実的な難しさによるためらいといったさまざまなフィルターを一切介さない純度100の声を持っている。一方でおれ自身や周りにいる人々には、それぞれの考えや価値観、客観的視点を持っている。

 だからおれがいま目の前にいる友達に、「おれ会社辞めて韓国の大学院に行こうと思う」といった時、彼もおれとまったく同じ反応をみせた。「ええ!?まじっすか!?」と。

 「おまえ……。おれたちもう若くないんだぞ? これからが働きどきだってタイミングで留学かよ」

 「いや、ほんとそれな」

 心配を滲ませた声でそういう彼に、他人ごとのような返事をしてしまう。ただ、これは本当に他人ごとだと思っているわけではない。これはおれ自身が納得して下した決断だ。もし本当に他人ごとのように考えてしまえば、おれはおれの中にいるこいつの操り人形になってしまう。そうなりたくない。おれはこいつと常に対等でありたい。

 「けど、おれはそうしたいんだ。ありがとな」

「気にするな。おまえは自分の選択に誇りをもって進んでいけばいいと思うぜ。大学生のころから韓国語の勉強を頑張っていた姿を近くで見てきたし。全力で応援するぜ」

 こちらの思考回路はすべてお見通しだぜ、といったように歯を見せて笑う彼がビールジョッキを持った手を突き出してきた。おれも飲みかけのジョッキを持つ。

「乾杯っ!」

 にぎやかな夜の居酒屋にきれいな音が響いた。

 居酒屋を出て友達と別れ、おれは駅まで歩いた。改札を通ってホームに出てみると、ちょうど電車がきていた。それに乗り込み、窓側の席に座る。流れていく景色をぼんやりと眺めながら、いままでに出会ったさまざまな声を頭の中で再生する。

 翻訳者になるのは狭き門だよ? 韓国語のレベルもっと上げないと無理だよ。世の中にはあなたよりも韓国語上手な人なんてたくさんいるんだよ? AI翻訳が発達したこの時代にどうして翻訳家になりたいと思うの? 収入安定しなさそう。そこまでしなくても韓国語は趣味ぐらいでやればいいんじゃない?

 心配をにじませた声、忠告をにじませた声、説得をにじませた声、妬みをにじませた声。それらはいろんなひとのさまざまな立場から生まれた声だ。だからおれにはこれらすべてがとても大事なものである。

 だって例えば、もしおれがこれらの声に耳をふさいで、おれの中にいるこいつの声だけを聴いて足元も見ずにただただ突っ走ったのなら、思いもよらぬ場所でつまずいてけがをしてしまうだろう。だけど周りの声を聴けば、おれがこれから走っていく道の中で、つまずきやすいポイント、けがをする可能性を事前に知ることができる。

 そうさ。周りの声はなにも、おれを攻撃するものなどではない。おれを守ってくれるものだ。だからおれは両方の声を聴くんだ。こいつの声も、周りの声も。そうすればおれは、きっとゴールにたどり着けるはずだ。

 駅に着いて電車を降りる。改札を抜けて外に出ると、空の遠くの方で星が力いっぱい輝いていた。

 澄んだ夜の空気を吸い込んでそっと吐き出してからつぶやく。

「『これからもよろしくな』」

 おれの声とこいつの声が互いに共鳴しながら星空の中へ溶けていった。

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寄稿記事公開のお知らせ https://koelabo.net/activity-report/620/ https://koelabo.net/activity-report/620/#respond Thu, 22 Jan 2026 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=620  “こえ”を形にした、新たな【作品】が公開されました。

作品:共鳴した声は夜空に輝く

著者:小山佳祐さん

 おれ自身もびっくりした。『おれ日韓の翻訳家になりてー!』ってこいつがいった時、おれは、「ええ⁉まじっすか!?」と条件反射のようにいい放ち、『だからとりあえず会社辞めて韓国の大学院いこうぜっ!』っていうこいつのはしゃぐ声を聞いた時は、さきほどの……

 こえラボでは、“こえ”をテーマにした作品を随時募集しています。

 小説、評論、エッセイ、書評などジャンルに指定はありません。

 心の“こえ”を形にする。

 その“こえ”に共鳴して、多くの“こえ”たちが集まってくる。

 そうして、あなたの“こえ”の拠りどころになっていけたら、と私たちは願っています。

 あなたの“こえ”も、ぜひお聞かせください。

 引き続き、こえラボをどうぞよろしくお願いいたします。


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書籍紹介『100年の経』 https://koelabo.net/news/609/ https://koelabo.net/news/609/#respond Mon, 19 Jan 2026 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=609  こえラボ編集長の藤平です。

『100年の経』という漫画作品を読みました。
 とてもおもしろかったのでご紹介します。

タイトル:100年の経
著者:赤井千歳
https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784098627929

 本書は、小説生成AIによって「小説家がいなくなった2120年」が舞台となっています。

 私たちが住む現実世界においても、生成AIの登場は「物を書く」という行為に大きな変化をもたらしました。

 頭の中にどういった世界を描き、それをどういった言葉を使って表現するか。
その後者を生成AIが担い始めています。

 今はまだ、人が心血を注ぎ、苦しみながらつづった言葉に価値があると思う人が多いかもしれません。私もそのひとりです。

 ただ、生み出されたものが面白ければ、人間が書いたか生成AIによって書かれたかなんてどっちでも構わない、という意見が増えてきているようにも感じます。

『100年の経』では、まさにそれが突き詰められた世界が描かれています。

 本書の主人公は、とある事情からコールドスリープに入り、100年の時を経て2120年に目覚めた小説家です。

 小説家がいなくなった世界を目の当たりにし、「絶対にこのAIを超える小説を自分の手で書いてやる…!」と決心します。

 しかし、なかなか受け入れられてもらえず、それどころか、ものは試しと生成AIを使って生み出した小説の方が高い評価を受けます。

「これは自分の作品と言えるのか」
「これは自分で書いたと言えるのか」

 称賛を浴びる中で、主人公は思い悩みます。

 近い将来、私たちにもまた、同じような問いが訪れるのではないでしょうか。

 書く行為は日常的にあるからです。

 例えばメールやLINE、DMを送るとき、書いています。
 SNSに投稿するとき、書いています。

 もし、これらの場面においても、『100年の経』の世界と同じように

「伝われば同じだから生成AIでいい」
「自分は考えるだけで、それを生成AIが文章にしてくれればいい」

 そうして生成AIを使うことが日常となったとき、生成AIの生み出す言葉の方が誰かの感情を動かせるとなったとき、
 それでも「これは自分の言葉だ」「これは自分で書いた」と言えるのか。

『100年の経』は、自分の言葉が危うくなるときに味わう不安や苦悩、そしてそれを乗り越えるためのヒントを与えてくれる作品でした。

 よろしければ、みなさんもぜひお読みくださいませ。

 では、また次の雑記で。


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2025年11月 活動報告 https://koelabo.net/activity-report/606/ https://koelabo.net/activity-report/606/#respond Sat, 13 Dec 2025 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=606  こんにちは。こえラボ編集部の葉山です。

 気温がぐっと低くなりましたね。澄んだ空気に、音が良く響きます。夏には聞こえなかった遠くの音がうっすら届くようになると、冬の訪れを感じます。さて、こえラボ編集部の11月の活動についてご報告します。

水面下の動き

 こえラボに作品をご寄稿いただく著者の方と、オンラインミーティングを行っていました。対面が可能な方は、直接顔を合わせ、お話をすることもあります。著者の方たちとのやりとりの中で感じるのは、“こえ”に向き合い作品を書くのには様々な過程が必要で、簡単にできあがるものではないということ。“こえ”と向き合うことは大変な作業ですが、著者の方たちは各々の内面に真摯に向き合いながら執筆を進めてくれていますので、作品の掲載を楽しみにしていてくださいね。

師が走る

 早いもので、2025年も残すところ、あとわずかとなりました。皆様もそれぞれお忙しくされていることと思います。今年の春にこえラボがプレオープンし、9月には正式オープンをすることができました。たくさんの方に作品をご寄稿いただき、また、応援のお声をいただいていることは、こえラボを運営していくなかで非常に励みになっております。来年もこえラボがみなさまの“こえ”に寄り添える場所であるために、活動を続けて参ります。現在、掲載している体裁以外の形でも、“こえ”をお届けしていけたらと考えています。

 それではみなさま、健やかに新年を迎えられますよう、お体をご自愛くださいね。また、先日の地震に遭われた方は、どうか少しでもあたたかい場所で過ごせていますように。2026年も引き続き、こえラボをどうぞよろしくお願いいたします。


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書籍紹介『透明な夜の香り』 https://koelabo.net/news/600/ https://koelabo.net/news/600/#respond Thu, 11 Dec 2025 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=600  私たちがすくいあげなかった自分の感情は、時間が経ったあとに思い返した時、全く同じものとして感じることはできません。だからこそ、常に湧き上がってくる心の“こえ”に丁寧に向き合っていかねばならない。自分の“こえ”に耳を傾け続ける姿勢を忘れないようにと、小さな気づきを与えてくれる本をご紹介します。

タイトル:透明な夜の香り
著者:千早茜
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-744509-1

 こえラボ編集部の葉山です。

 本書は、調香師・小川朔(さく)のもとで働くことになった一香(いちか)が、自らの感情に見て見ぬふりをしてきた自分自身に向き合う姿が描かれた小説です。朔は、そばにいる人のわずかな香り(少しの発汗など)からでも相手の感情の変化を察知してしまうほど鋭い嗅覚をもっています。そんな朔が、一香のまとう香りから、彼女が胸の奥底に抱えている感情を引き出すべく問いを投げかけます。「人はね、自分自身にも嘘をつくんだよ」と。

 自分の心の内に響く“こえ”は、きれいなものばかりではありません。自分の“こえ”に耳を傾ける時、自身の未熟さや様々な感情と対峙することにもなります。“こえ”に向き合わずに生きる方が感情がざわつくことも少なく、楽で穏やかに過ごせるでしょう。

 しかし湧き上がってくる“こえ”をじっくり見つめないと、その時の“こえ”はどこにいってしまうのか。あとから過去の感情を取り出し、全く同じものとして感じることはできないからこそ、いま湧き上がってくる“こえ”に、常に丁寧に向き合う必要があります。“こえ”になるまでに揺れ動く感情の過程を、ひとつひとつ細やかに感じていった先に、他者の“こえ”にも耳を傾け、つながっていける関係性があるのではないでしょうか。

 一香が、朔からの問いかけから目をそらさずに苦しみながらも過去の自身の行いに向き合う姿勢は、自分の“こえ”に丁寧に向き合うための勇気をわけてくれるように感じます。私たちが自らの“こえ”の過程を見つめることから逃げ出さなかった時、『透明な夜の香り』は物語という枠を超え、その先にある道をほのかに照らしてくれるような小説です。フィクションをお好きな方はもちろん、小説をあまり読まない方にも、手にとってもらえたら嬉しい一冊です。


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2025年10月活動報告 https://koelabo.net/activity-report/586/ https://koelabo.net/activity-report/586/#respond Fri, 14 Nov 2025 23:00:00 +0000 https://koelabo.net/?p=586  こえラボ編集長の藤平です。

 先日、富士五湖のひとつ、河口湖にふらっと行ってきました。紅葉はきれいだったものの、富士山は残念ながら雲で覆われており、「紅葉+富士山」というセットをこの目におさめることができませんでした。またリベンジしたいと思います。

 さて、10月の活動報告です。

 10月はイベントレポートを公開しました。

『小名浜ピープルズ』刊行記念トークイベントレポート
『小名浜ピープルズ』は福岡県いわき市小名浜出身・在住の小松理虔(こまつ・りけん)さんが地元の人たちとの対話を通して、東日本大震災と福島第一原発の事故後10年を人々がどう暮らしてきたのかを綴ったエッセイです。本書の刊行を記念し、横浜市にある本屋・生活綴方で7月17日に開催されたトークイベントを、こえラボ編集部の葉山がレポートします。……

 自分の“こえ”と向き合う上でヒントになる言葉が詰まっていますので、お時間あるときにお読みいただけたら幸いです。

 ちなみに、『小名浜ピープルズ』の出版元である里山社さんからも、「小松さんと本書の魅力が伝わるようなレポートをありがとうございます」とお褒めの言葉をいただきました。
 こちらこそありがとうございます。

 また、本レポートつながりで、安達茉莉子さんの『らせんの日々』の紹介もしています。

書籍紹介『らせんの日々』
 SNSには目立ちやすい“声”ばかりが並び、気づけば「なにかを成し遂げなければならない」と自分を追い立ててしまう。そんな社会の中で、特別な能力がなくても役割を果たさなくても、「ただ生きること」を肯定してくれるような一冊をご紹介します。……

 私たちは、「他者に伝わらなければ意味がない」と感じているところが多かれ少なかれあると思います。だから他者にうまく伝えられる人を見ると、羨ましいと思ってしまうし、時に嫉妬してしまう。

 SNS、とりわけXは、他者にうまく伝えられる人のポストばかり目に付くので、そういった感情が引き起こされやすい場所です。Xを見ていてとても疲弊するのは、羨望や嫉妬を抱く自分を、「そんなふうに思っちゃ駄目だ」となだめ続けているからではないでしょうか。

『らせんの日々』は、そんな心の疲れにきっと効きます。雑記もあわせて読んでいただき、ぜひ書籍を手にしてみてください。

 ちなみに作品の公開準備についても粛々と動いておりまして、まもなくお披露目となりそうなものがいくつかあります。こちらも楽しみにしていただけたらと。

 ではでは。
 11月も何卒よろしくお願いいたします。


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